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【今押さえておきたい】なぜ今、「スキンロンジェビティ」が注目されているのか~老化を細胞レベルから考える~

2 日前
読了時間: 5分

最近、美容や健康の分野で「ロンジェビティ」という言葉を耳にする機会が増えてきていませんか?

長寿を意味する言葉であることは知っていても、スキンケアとどのように関係するのか、明確には分からないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、老化を細胞レベルから捉える「老化のホールマーク」をひも解きながら、スキンロンジェビティという新しい考え方についてご紹介します。


■ 「スキンロンジェビティ」とは?

ロンジェビティ(Longevity)は、単に長く生きることだけを意味するものではありません。

近年では、寿命の長さを表す「ライフスパン」だけでなく、心身ともに健やかに過ごせる期間を示す「ヘルススパン(健康寿命)」を重視する考え方が広がっています。

この考え方を肌に当てはめたものが、「スキンロンジェビティ」です。

スキンロンジェビティとは、若い頃の肌へ戻すことや、年齢に抗うことではなく、肌が本来持つ機能と健やかさを、できるだけ長く保つことを目指す、包括的な戦略です。


■ アンチエイジングからスキンロンジェビティへ

従来のアンチエイジングでは、シミやシワ、たるみなど、目に見える年齢サインへの対応に関心が向けられてきました。

しかし、こうした外見上の変化は、老化の早期に現れるものではありません。

細胞や分子レベルでは、そのはるか以前からさまざまな変化が始まっており、シミやシワなどは、それらが長い時間をかけて積み重なった後に現れる「後段の指標」と捉えることができます。


つまり、目に見える変化が現れてから対応するだけでなく、その前の段階にある細胞や組織の状態に目を向けることが重要になります。

シミやシワなど年齢サインが現れるのを待ってから対処するのではなく、老化の早期段階から意識し、輝きがありしなやかで健康な肌をできるだけ長く維持していくことを目指す能動的な考え方が今、注目されています。


■ 細胞レベルで見る「老化」とは?

スキンロンジェビティの核になるのが、「細胞レベルで起こる老化への理解」です。


細胞レベルの老化とは、DNAやタンパク質などに生じた損傷が少しずつ蓄積し、それに対する防御や修復の仕組みが変化することで、細胞や組織が本来の機能を維持しにくくなっていく、複雑な生物学的プロセスです。


こうした老化に関係する変化を、共通する特徴として体系的に整理したものが「老化のホールマーク」です。


■ 老化を読み解く「12のホールマーク」


2013年、老化研究者のCarlos López-Otín博士らは、老化に関係する生物学的変化を「老化のホールマーク」として整理しました。

その後、研究の進展を踏まえて2023年に内容が更新され、現在は12項目が提唱されています。


【図:老化の12のホールマーク】


12のホールマークは、「一次的」「拮抗的」「統合的」という3つのグループに分類されます。


● 一次的ホールマーク(根本原因)

DNA損傷やテロメアの短縮、タンパク質恒常性の低下など、細胞内に生じる損傷や変化の起点です。


● 拮抗的ホールマーク(ダメージへの反応)


ミトコンドリア機能不全や細胞老化など、蓄積した損傷に対して細胞が示す反応です。本来は防御的な反応でも、慢性化すると細胞や組織の機能に影響を及ぼします。


● 統合的ホールマーク(機能的な結果)

幹細胞の枯渇や慢性炎症、細胞間コミュニケーションの変化など、損傷と反応の積み重ねによって組織全体に現れる機能変化です。


つまり、老化は、

「細胞内に損傷が蓄積する」

  ↓

「細胞の反応が変化する」

  ↓

「組織全体の機能に影響が及ぶ」


という流れで捉えることができます。


12のホールマークは、それぞれが独立しているのではなく、互いに影響し合いながら老化という複雑なプロセスを形づくっています。 



■スキンロンジェビティにおける3つの重要テーマ

数ある老化のメカニズムのなかでも、肌との関係を考えるうえで注目したいのが、「酸化ストレス」「インフラメイジング(加齢に伴う慢性炎症)」「細胞老化」の3つです。


1.酸化ストレス

紫外線や大気汚染などの影響によって活性酸素が過剰になると、DNAやタンパク質、脂質などがダメージを受け、細胞機能に影響を及ぼします。


2.インフラメイジング

炎症は本来、組織を守り、修復するために必要な反応です。インフラメイジングとは、加齢に伴ってごく軽い炎症が慢性的にくすぶり続ける状態です。細胞や組織にダメージを与え老化を促進し、肌の恒常性や修復機能にも影響を及ぼす可能性があると考えられています。


3.細胞老化

ダメージを受けた細胞の一部は、分裂を停止した「老化細胞(ゾンビ細胞)」となります。これは異常な細胞の増殖を防ぐ生体防御反応でもありますが、老化細胞が蓄積すると、SASP[yo1] (細胞老化関連分泌現象)と呼ばれる炎症性因子などを分泌し、周囲の細胞や組織環境に影響を与えることが知られています。

この3つは肌の老化と密接に関係しており、これらをターゲットにすることがスキンロンジェビティにおいて重要な戦略となります。


スキンロンジェビティとは、目に見える変化を追うのではなく、その背景にある細胞・分子レベルの変化にも目を向け、肌が本来持つ機能を長く健やかに保つことを目指す考え方です。このアプローチはあらゆる年齢層、どんな肌タイプの人にも有効です。


「年齢サインに対処する」から、「年齢を重ねても活力に満ちた健やかで輝く肌を保つ」へ。

スキンケアに対する価値観は、いま新しい段階へと進み始めています。

アルファサイエンスは、肌で起こる変化を科学的に見つめながら、年齢にかかわらず健やかな肌を目指すという考え方を大切にしています。


※「老化のホールマーク」は、全身の生物学的老化を捉えるために提唱された枠組みです。本記事は研究上の概念をご紹介するものであり、特定の化粧品による効果を示すものではありません。


【参考文献】

López-Otín C, et al. Hallmarks of aging: An expanding universe. Cell. 2023;186(2):243-278.

 [yo1](細胞老化関連分泌現象)

 
 
 

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