シミ・肝斑に新たなアプローチ。ハイドロキノンに代わる注目の成分「システアミン」とは？

シミや肝斑など、日本人に多い悩みに

シミ・肝斑治療において、スキンケアで「刺激を与えずに、継続的にケアすることで、

原因となるものを抑制する」という新たなアプローチが注目を集めています。

【日本人の肌とシミ・肝斑の背景】

日本人を含む東アジア系の肌は、メラニン含有量が高く、メラノサイトが刺激に対して

過敏なため、シミや肝斑が出やすく、慢性化もしやすいという特徴があります。

実際、日本のシミ・肝斑をはじめとする色素沈着治療市場は年々拡大を続けており、

2023年にUSD 4,720万ドルの売上高を計上し、今後も年平均成長率（CAGR）7.7％で

成長することが予測されています。

色素沈着治療に有効な成分としては、日本国内において長年、ハイドロキノンが定番の

外用剤として処方されてきましたが、近年は刺激症状や長期使用による白斑、または外因性オクロノーシス（青黒い皮膚変色）などのリスクに加え、休薬期間を設けることが望ましいと報告されており、国際的に安全性の再評価が進んでいます。

2020年、米FDAはハイドロキノンを市販薬（OTC）として使用不可とし、処方薬に限定。

また、欧州では2001年以降、1%以上の濃度での化粧品配合を禁止しています。

▶︎参考リンク

FDA発表：ハイドロキノン製品のOTC販売禁止について

https://www.fda.gov/drugs/drug-safety-and-availability/fda-works-protect-consumers-potentially-harmful-otc-skin-lightening-products

EU Cosmetics Regulation 1223/2009（Annex II）

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:02009R1223-20190813

こうした規制の背景には、有色人種へのリスク増加や、不適切使用による副作用の

懸念があり、米国や欧州だけでなく、

代替成分を新たな選択肢として考える動きが広まっています。

【システアミンとは？──体内に存在する強力な抗酸化成分】

こうした背景の中で注目されているのが、「システアミン」という新しい成分です。

システアミンの特徴は？

✔ 自然由来：体内に存在するコエンザイムAの代謝産物として生成される

✔ 強い還元力：神経疾患や代謝病の治療薬として長年使われてきた実績

✔ シミや肝斑への多段階アプローチ

【システアミンの主な作用とは？】

・チロシナーゼとペルオキシダーゼの両方を阻害

・グルタチオン（GSH）濃度の増加

・銅・鉄イオンのキレート（無害化）作用

・活性酸素（ROS）の除去

これらの作用により、色素生成そのものを多方向からコントロールする新しい選択肢として、研究者・臨床医の注目を集めています。